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2016/03/17  会社法  

企業法務TOPICS №004

前回に引き続き、株式会社の会計帳簿の開示を巡る攻防についてシリーズでお届けします。

激闘!?会計帳簿閲覧請求3

 ご相談
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 これから会社に対して会計帳簿の閲覧請求を行いたいと思うのですが、会社に行って見せて欲しいと言えばいいのでしょうか?それともなにか書面で請求しなければいけないのでしょうか?

 あと、請求するときには単に要件満たしている株主だから見せろと言えばいいのでしょうか?

回答

いよいよ開示請求をしていくことになりますね!

1) 書面は必要か?

 さて、まず請求するときに書面で請求する必要があるのか?ということですが、結論から申し上げると法律上は口頭での請求でも大丈夫です。会社法になる前の商法の時代には書面で請求しなければならないとされていたのですが、会社法になってそのような規定はなくなりました。

 ただ、実際には後で述べるように、請求に当たっては理由を示す必要があります。会社が拒んだ場合に、こちらとしてはしっかりした理由を主張して請求したのに拒まれた、ということを明確にしておく必要があるので、基本的には書面を提出した方が適切だといえます。 

2) なにを書く必要があるか?

 帳簿閲覧権を行使する場合、「請求の理由」を明らかにしなければならないとされています。 実際に書面を作る上では、どの程度具体的に書く必要があるのか、閲覧請求する対象も特定する必要があるのか、ということが問題となります。

 例えば次のような書面で請求した場合、請求は認められるでしょうか?


会計帳簿閲覧請求書

平成28年3月17日

○×株式会社 御中

 株主 山田太郎

 
 私は、貴社発行済み株式の3%以上を保有する株主ですが、会社法433条の規定に基づき、以下の理由により貴社の会計帳簿の閲覧及び当社を請求いたします。
 

1.請求の理由
 貴社の経営が適切に行われているか確認するため

2.対象帳簿
 会計帳簿すべて

 

結論から申し上げると、残念ながらこれでは記載としては不十分です。

ア 請求の理由について 

  まず、請求の理由については、会社が法律で認められた閲覧請求を拒絶することができる場合にあたるか否かを判断するための手がかりにするために必要とされています。

 そのため、閲覧請求を行う際には、閲覧等を行う理由をできる限り具体的に記載しておくことが必要とされています。

 例えば最高裁の判例で理由の記載が具体性を欠くとされたものとしては、「此度貴社が予定されている新株の発行その他会社財産が適正妥当に運用されているかどうかにつき、商法293条の6の規定に基づき、貴社の会計帳簿及び書類の閲覧謄写をいたしたい」というものがあります。

 他方で、同じく最高裁では、会社が関連会社に多額の無担保融資をしたことが違法・不当であり、適正な監視監督を行うため会計帳簿等を閲覧謄写する必要があることや、会社が多額の美術品を取得したことが違法・不当であり、当該美術品の内容・数量、購入時期・金額、購入相手等を調査するため、会計帳簿等を閲覧謄写する必要があること等を閲覧理由として記載された事案では、具体性に欠けないとされています。

 したがって、この書面のように経営が適切に行われているか確認するため、といった抽象的な記載では不適法とされています。

イ 対象帳簿の特定について

  これに対し、どこまで対象帳簿を特定する必要があるかについては議論のあるところですが、会社内の帳簿としてどのようなものがあるかはわからなことも多いですので、ある程度抽象的な記載でも特定としては足りると考えられています。

ただ、この記載例のような帳簿全て、ということではさすがに抽象的に過ぎるかと思いますので、例えば総勘定元帳、であるとか、現金出納帳等を例示するなどして、できる限り特定をしておくことが必要でしょう

 いずれにしても、請求を行うにあたってはやはり最初から万全の状態で請求することが望ましいといえます。
 どこまで書く必要があるのか、といった点についてはこの分野に詳しい弁護士のサポートを受けることが重要です。

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