企業の皆様の運営上の様々な法律問題について弁護士がサポートいたします。顧問弁護士をお探しなら、ホライズンパートナーズ法律事務所まで
アクセス | 新橋駅 徒歩8分 虎ノ門駅 徒歩3分 内幸町関 徒歩3分 霞ヶ関駅 徒歩4分 虎ノ門ヒルズ駅 徒歩7分 |
---|
受付時間 | 平日 9:30~20:00 |
---|
今回は前回に引き続き、株式会社の会計帳簿の開示を巡る攻防についてシリーズでお届けしたいと思います。
ご相談
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
先日のご相談に対するアドバイスをふまえて、他の株主とも話をしてみた結果、同じく2%の株式を保有している別の株主も共同して会計帳簿の閲覧請求をしてくれることになりました。
ただ、その方は会計帳簿だけだとそれが正確なのかも不安があるから、法人の預金通帳や法人税の確定申告書なども閲覧すべきだと言っています。
私としても見ることができるのであればそのような書類も見たいのですが、請求可能でしょうか?
なるほど、確かに帳簿だけですとその記載が正確かどうか必ずしもわからない部分があるかもしれませんね。
ただ、法律では「会計帳簿又はこれに関する資料」と規定されていて、例えば総勘定元帳や伝票などが開示の対象となることは争いがありません。
これに対して、ご質問のような法人税の申告書まで開示の対象になるかは正直申し上げれば見解が分かれています。
例えば、法人税の確定申告書については東京地裁や大阪地裁でこれを否定する判断が示されてはいます。ただ、これもあくまでも地裁レベルでの判断で、高裁や最高裁が正式に見解を示しているわけではありません。実際、学者の先生などでは、広く開示の対象にすべきだという見解も有力です。
そういう意味ではとりあえず請求をした上で会社の出方を見て次の段取りを考えるというのも一つの方法でしょう。
ただ、このような争いのある書類の開示を請求したことで、本来問題なく開示されるべき帳簿も開示されない、といった事態は避けた方が無難です。そういう意味では、戦略的に考えれば、例えば最初は開示義務があることに争いのない書類の開示を求め、開示された書類を検討した上で、なお他の書類の開示まで求める必要がありそうであれば、別途開示請求を行う、といった方法も検討に値すると思われます。
ということで、次回はいよいよ開示請求が行われます。
ホライズンパートナーズ法律事務所では週1回、メールマガジンを発行しています。当サイトの企業法務TOPICS更新情報のほか、企業法務等に関する近時のニュースや最新判例を弁護士の視点で解説します。ぜひご登録ください。