企業法務TOPICS　№064

　表明保証というのは、Ｍ＆Ａや資本提携契約のような契約をする際に、前提となっている一定の事実について契約当事者が誤りが無いことを保証することをいいます。

　例えば、契約を締結するに当たって、法律上要求されている会社内の手続は全て履行されていること、であったり、従業員に対する未払賃金などがないこと、訴訟などが係属していないことを保証することが想定されます。

　そして、これらの事項に誤りが無いことを保証したにもかかわらず、実際には事実関係に齟齬があった場合、契約の相手方は表明保証違反を理由として損害賠償請求などを行うことが可能になってくるという効果があります。

　このように、仮に事実に反してしまった場合には損害賠償などの可能性が出てくる重要な内容になりますので、保証していい事項か否かは慎重に検討する必要があります。

　例えば、従業員に対する未払賃金がないことを保証していたにもかかわらず、実際にはいわゆる残業代が未払いであったとして請求を受けてしまうケースなどもありえます。無条件に保証をしてしまっていた場合には、この場合にも損害賠償の問題が生じかねません。

　そのため、表明保証の対象事項については、場合によっては「知る限り」といった条件を付するなどして、一定の制限を加えることなども検討する必要があります。