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代金を分割払いしてもらうような場合に、よく、「支払いを2度怠ったときは当然に期限の利益を喪失し、既払い金を控除した残額を一括で支払う。」などと書いてあります。 これが入っていれば一括払いを請求できるのはわかるのですが、そもそも支払えないから2回も遅れてるんでしょうし、入れる意味あるんでしょうか?まして破産や民事再生をしたときにも期限の利益を喪失する、なんてことが書いてあったりしますが、ますます意味が無いように思います。どうしてこんな条項入れるんですか?
確かに、どうせ払えないんでしょ?って考えたら疑問はごもっともですよね。
でもこれすごく大事なんです。
まず、この条項が入っていることできちんと支払ってもらうインセンティブになります。一括払いは困るからなんとか約束どおり払おうと頑張ってくれる、という意味です。
法律的な観点からみても、大事な意味があります。
訴訟を起こして回収しようと考えたときにこの条項がないと困ります。
つまり、請求するにも基本的には期限が到来している分しか請求できませんから、このような条項がないと例えば遅れている20万円分だけまず訴訟を起こして、それから毎月10万円ずつ訴えを拡張していかなければならない、なんて事態になりかねません。
あとは相殺するときに非常に重要になってきます。
例えば、御社から相手に請求する一方で、相手からも御社に請求があるような場合、いったん御社が支払った上で相手から回収するとなると回収できるか不安が残る場合があります。そのような場合に、相殺をしてしまってお互い債務をなくしてしまい、こちらが支払わなくてよくすることあります。
ただ、「相殺をするためには自分が請求する債権について支払期が来ていなければならない」というルールがあります。 例えば、あなたはすぐに支払う必要があるのに相手方は2ヶ月後に支払えば良い場合、あなたが一方的に相殺して債務をなくすことはできません。
分割払いの場合にも、支払期限が来ているものしか相殺できなくなってしまうので、場合によっては大きな問題になってきます。例えば2ヶ月も遅れているのであれば今後も遅れる可能性が高いのに、こちら側は全部を支払わないとならなくなってしまうからです。
そこで、遅れた場合には一括支払いとしておくことで全体を相殺できるようにしておく必要があります。
民事再生を申し立てられた場合は特に重要
特にこれが問題になるのが相手が民事再生を申し立てた場合です。
民事再生を申し立てるような事態ですからまさにこちらの債権は全額回収できなくなる可能性が高いわけです。ただ、この場合に相手が期限の利益を喪失していないと、相殺ができなくなってしまいます。
そこで、契約書の中に、民事再生を申し立てたときには期限の利益を喪失する、という条項を入れておくことで、こちらの債権全体とあちらの債権を相殺できるようにしておく必要が出てきます。
契約書については一見すると意味が無いような事項でも実は重要な意味を持つことがかなりありますのでご注意ください!
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