１．最新トピックオピニオン

　吉本興業の闇営業問題に関連して行われた2つの記者会見がいろいろと物議を醸しており、特に会社の対応については、批判を含めいろいろと意見が出されているところである。

　吉本興業のような大企業の対応としてはさすがにどうなのか？と思う点も多々あるところであるが、他の企業、特には中小企業などでは、同じような問題点を抱えているケースは珍しいことではない。

　これからの時代の企業経営を考える上ではやはり重要なポイントと思われるので、その視点からあらためて検証しておきたい。

１ 家族？

　企業経営を行っていく上で、よくトラブルになるポイントとしては、「家族」といった考え方である。

　今回の吉本興業のケースでもよく使われているが、企業の中でも、うちは家族みたいな会社だから、といった表現が使われることはある。

　趣旨としては、それくらい仲が良い、信頼関係がある、といった意味合いで使われていることが多いが、実際いざトラブルになったときには、家族などと言うのは幻想だったことが明らかになる。

　もちろん、従業員が会社に対して高い帰属意識を持ち、高いパフォーマンスを上げてくれることは会社として好ましいことではある。

　ただ、あくまでも雇用契約上の上下関係がある上で、従業員として働いているということは無視してはいけない。

　従業員が自発的に休日出勤や残業などをして、うちの会社の従業員はみんなよく働く、と喜んでいたら、ちょっとしたことでトラブルになって嫌がらせのように残業代を請求されたといったケースも珍しくない。

　あくまでも雇用契約に基づく関係であると言うことは無視しては絶対にいけないポイントだろう。

２ 契約書など作らない

　上に書いた「家族」といった観点と同じような問題意識にはなるが、やはり契約関係を口頭だけで済ませようというのも非常にやっかいな問題である。

　うちは信頼関係で成り立っているのだから、そんな契約書なんて作るドライな関係ではない、といった意識を持っている経営者はまだまだ一定数いる（実態は単にめんどくさいとか、コストをかけたくないということだったりすることも多い）。

　ただ、信頼関係があると思っていたのはこちらだけ、などという不幸な事態も往々にして起こる。

　トラブル回避のためにも、やはり契約書はしっかり作っておくべきだろう。

３ 契約解消を撤回？

　また、今回のケースで一番不可解なのは、宮迫さんとの契約を解消するという処分を下しておきながら、唐突に撤回したと言う点である。

　もちろん、いったん下した処分であっても、あらためて調査・検討の結果不適切な処分ということがわかれば、撤回することは全く問題はない。

　ただ、今回のケースは、特に事情変更もないなかで唐突に行われた点は違和感で、そもそも処分自体を適当に判断したのでは？という疑問が拭えない。

　会社が行う処分というのは相手方、特に従業員にとっては非常に重いものであり、それを簡単に撤回するということは、会社に対する信頼を著しく損なうおそれがある。
この点は非常に問題だろう。

　いずれにしても、会社経営を考える上では、やはり日本でも着実に契約社会としての傾向は強くなっていることは無視できない。

　認識を変えていく必要がある、ということは少なくともまず自覚すべきであろう。

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２. 今週のオススメ

　当事務所では毎週水曜日に「ホライズンのオススメ！」を更新しています。

【ホライズンのオススメ！ №171】 人間椅子
　>>> http://www.horizon-law.jp/news/ningen-isu/

　今回は坂東弁護士のオススメ、今年でデビュー30周年を迎えるロックバンド『人間椅子』をご紹介しています。見た目のインパクトがすごいですが、演奏もすごいらしいです。興味のある方はぜひ。

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３. Horizon労働問題フォーラムのお知らせ

　事務所では『Horizon労働問題フォーラム』として、不定期のセミナーと定期的な勉強会を開催しています。ぜひご参加ください。

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■ 労働問題勉強会２０１９
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次回の勉強会は９月以降を予定しています。
詳細が決まりましたらお知らせいたします。

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４. 近況報告

　ようやく暑くなってきたと思ったら今度は台風だそうで、なかなかすっきりしませんが、皆様いかがお過ごしでしょうか？弁護士の高井です。

　明日は土用丑の日！だそうで、世の中のうなぎ屋さんは大忙しなようです。

　我々弁護士の業界はといいますと、今月の20日くらいから裁判官が交代で夏休みを取るシーズンに入っておりまして、訴訟の期日などはいつもよりは入りにくくなっているシーズンではあります。

　裁判になっていない業務もおかげさまで相当数あるので、相変わらず忙しく過ごしてはいるのですが、やはりちょっと心持ちが違ったりします。

　というわけで今週はこのあたりで。
　今後ともよろしくお願いします。

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