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従業員兼務の取締役に関する問題(1)では、「従業員兼務」が問題になる場合と、「従業員兼務」の判断基準について述べました。
今回は、これまで各種の判例・決定で指摘された、従業員性の判断を左右する事情を列挙します。
(1)指揮監督
取締役就任後も代表取締役の指示には従っていたが、それ以外に指揮監督していた者はいない。代表取締役の指示に従うほかなかったとしても、取締役会内部における事実上の力関係に過ぎないともいい得るものであった。
(2)拘束性
取締役就任後は、勤務場所及び勤務時間の指定を受けなくなった。
取締役就任後は、タイムカードによる勤務時間の管理を受けなくなった。
取締役就任後は勤怠管理を受けなくなった。
(3)対価として支払われている金員の名目・内容等
取締役就任後の報酬は、従業員と異なり、給与規定に定められた役職手当・家族手当・調整給等の区別が存しない。
取締役報酬の額自体、従業員の賃金よりも相当程度高額である。
取締役就任後は報酬の支給方法が従業員の給与と異なり、会計上も取締役の報酬として処理されていた。
(4)取締役としての地位
役付取締役である。
常務取締役である。
取締役会に取締役として出席していた。
(5)具体的な担当職務
取締役就任後もそれ以前と同様の業務に従事していたが、取締役就任後は、稟議の決裁に関与するようになり、重要事項の協議に加わっていた。
取締役就任後は、担当業務の範囲内で、対外的に会社を代表する者として行動してきた。
(6)態度・待遇
取締役就任後は有給休暇の定めもなくなった。
代表取締役の候補と目されたことがある・候補に挙がっていた(本人は辞退していても)。
取締役就任時にそれまでの退職金の支給を受けている。
他の会社の役員にも就任していた。
(7)雇用保険
取締役就任後は雇用保険料の控除がなくなっている。
(3)対価として支払われている金員の名目・内容等
取締役就任後も源泉徴収票には従業員と同様に給料、賞与という記載がなされている。
取締役就任後に他の従業員と同様に賞与が支給されている。
(4)取締役としての地位
取締役会の議事録の作成が形式的で、各取締役の意見・議論が反映されている実態にない。
(5)具体的な担当職務
取締役就任後もそれ以前と同様の業務に従事し、その業務は会社の定款等の定めにより代表者の指揮命令の系統下におかれていた。
(6)態度・待遇
取締役就任後も他の従業員同様に中小企業退職金共済事業団の積立をしていた。
(7)雇用保険
取締役就任後も、従業員として雇用保険に加入しており、雇用保険料が控除されている。
従業員を取締役に昇格させる場合や、従業員が担当する業務に取締役も関与しているような場合に、その者を「従業員兼務」ではないとして遇するのであれば、上にあげた事情を意識して、給与・各種手当・保険などの手続きをし、処遇・待遇を明確に他の従業員と区別しておく必要があります。