【事実が命!日本で判例変更が少ない理由】ホライズンメールマガジン▼第084号 2017/12/01

▼第084号 ホライズンメールマガジン

----------事実が命!日本で判例変更が少ない理由

2017/12/01
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毎週金曜日発行

 

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1.最新トピックオピニオン

2.今週のオススメ

3.近況報告

 

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1.最新トピックオピニオン

 最高裁が、強制わいせつ罪の成立のためには性的な意図が必要だとしていたこれまでの判例を変更したことが報道されている。

 https://www.jiji.com/jc/article?k=2017112900158&g=soc

 

 今回は日本では非常に珍しく判例変更が行われたケースということで注目を集めているので、判例変更という点で少し紹介したい。

 

 さて、判例は法律そのものではないが、法律の解釈に関する判断と言うことで非常に重みを持つ。ころころ変更していいものでは当然ないが、そうはいっても日本の場合非常に判例変更が少ない。

 今回問題となった、性的な意図がなければ強制わいせつ罪が成立しない、とする判例も、問題が長年指摘されていたが、変更されないまま実に47年間が経過していた。

 

 このように判例変更が少ない理由なのであるが、以前、ある裁判官が言っていたことで非常に納得したことがある。

 それは、日本の裁判では、裁判所が、法律の解釈ではなく事実の認定によって妥当な結論を導こうとする傾向が非常に強い、ということである。

 

 例えば、今回問題となった強制わいせつ罪でのわいせつ意図に関してである。

 これまでにも、最高裁判例をふまえ、被告人側が、わいせつな意図がなかったから無罪だ!と主張する例は数多く存在していた。

 しかし、裁判所は、そのような事案で、わいせつ意図があった、と事実認定をすることで、判例の問題点に踏み込むことを回避していたのである。

 当然ながら、客観的にみればわいせつな行為をしているのであるから、ほとんどのケースでは性的な意図があったと認定できるであろう。ただ、かなり微妙と思われるケースが仮にあったとしても、裁判所は、判例の妥当性に踏み込むよりも、わいせつ意図を認定することで回避していた可能性が高い。

 今回は、証拠関係からはわいせつ意図が認められないという極めて異例の事案だったため、やむなく判例変更に至ったというのが正直なところであろう。

 

 このような裁判所の傾向は、我々法律家としてはやはり無視することができない。
 日本の裁判は、やはり事実関係、つまりはこちらの言い分を基礎づける証拠こそが命である。


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2. 今週のオススメ

【ホライズンのオススメ! №089】利尻昆布ラーメン「くろおび」
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3. 近況報告

  いよいよ12月に入りました!皆様いかがお過ごしでしょうか?弁護士の高井です。
今回は判例変更と言うことで書きましたが、個人的に印象に残っているのは、修習生のときにお世話になった先生が、弁護士人生の中で一度で良いから最高裁の大法廷に立ってみたい、とおっしゃっていたこと。

 大法廷というのは裁判官15人で審理される法廷のことですが、憲法判断がされる場合や今回のように判例変更がされる場合など、非常に事案が限られます。
確かに一生のうちに一度でも立ちたいと思っていても、なかなか実現できるものではありません。

 自分でも弁護士を経験したからこそわかるところであります。
 というわけで今週はこのあたりで、今後ともよろしくお願いします。

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