2016/08/12

企業法務TOPICS №025

取締役がリベートをもらうことは犯罪?

 ご相談

 先日、事業所を移転することになり、新しいオフィスに移転をしました。特に問題なく進んでよかったと思っていたのですが、最近になって、取締役の1人が、新しいオフィスの内装工事を依頼していた業者からリベートを受け取っていたことが発覚し、社内で問題になっています。

 犯罪にならないのか?という意見があるのですが、どうなのでしょうか?

回答

 結論から申し上げると犯罪に当たる可能性は低いと考えられます。

 公務員の場合には単にリベートをもらうだけで収賄罪が成立しますが、会社の取締役には単にリベートを受け取るだけで犯罪になるという規定はありません。

 ただ、会社法では、職務に関連する事項について、「不正の請託」を受けて賄賂を収受した場合に収賄罪が成立するものとされています。

 不正の請託というのは、要するに、不正な行為をするように依頼したり、もしくは適切な行為をしないことを要請したりということをいいます。

 このような依頼を受け、その行為に関して権限を有している取締役が賄賂を受け取った場合には収賄罪が適用される可能性があります。

 ただ、ご相談の、オフィスの内装工事に関して考えると、例えば相場と比較して相当高額な値段で工事を行うことを依頼するなどの事情が必要となると思われますので、実際上該当する可能性は極めて低いといえるでしょう。

 また、収賄ではなく、任務に背いて会社に特別の損害を加えたような場合には、特別背任罪に該当する可能性もあります。

 ただ、これについても積極的に高額の発注をするなどの事情が必要となると考えられますので、適用される可能性は低いでしょう。

 このように考えられますので、犯罪になるかならないか、という視点よりは、社内的に処分を検討することの方が適切と考えられます。

ホライズンのメールマガジン(無料)

ホライズンパートナーズ法律事務所では週1回、メールマガジンを発行しています。当サイトの企業法務TOPICS更新情報のほか、企業法務等に関する近時のニュースや最新判例を弁護士の視点で解説します。ぜひご登録ください。

法律相談のご予約・お問合せはこちら

お気軽にお問い合わせください。

03-6206-1078

電話受付時間:平日 9:30〜20:00

パソコン|モバイル
ページトップに戻る