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銀行預金の差押えと支店特定の要否

売掛金を回するため、債務者が行にして持っているを差押えしたい。この合、行、支店、口座番号のどこまでを特定できれば差押えできるか。

銀行については取扱支店、ゆうちょ銀行については貯金事務センターを特定する必要があるが、口座番号を特定する必要まではない。

解説

債権(預金は「預金債権」です)の差押えをするにあたっては、差し押さえるべき債権を特定するに足りる事項を記載して申立てなければならないとされています(民事執行規則133条2項)。

そして、東京地裁民事執行センターでは、預金債権の差押については、取扱店舗を支店名で特定するよう求め、店舗を支店で特定しない預金債権差押申立てについては、差押債権の特定を欠く(申立は不適法却下)という取り扱いをしてきました。その理由として、そのように取り扱わないと、取扱店舗ごとに独立して預金管理をしている銀行に過大な負担を強いることになるからであるなどと言われてきました。

なお、預貯金の口座番号まで特定しなくても預金債権の「特定」としては十分であるということに、争いはありません。

 しかし、支店まで特定した差押申立てが必要となると、差押えを申し立てる側(差押債権者)としては、債務者がどこの支店と取引があるのかまで把握することは困難な場合が多いため、債権回収の上では不都合が生じかねません。また、複数の支店を特定して差押申立てをした場合(債権は特定した支店ごとに割り付ける。後述。)、各支店の預金債権の差押手続にタイムラグが生ずることは不可避ですから、ある支店の預金債権に差押手続が行われたことを知った差押債務者が、直ちに他の支店の預金を引き下ろして執行を免れるという事態もあり得ます。

他方で、ペイオフ(金融機関が破綻した場合に1預金者1000万円までの預金と利息を保護する等の預金保険制度)の解禁を背景として、金融機関が名寄せ(全支店につき同一名義の預金を調査しまとめること)のためのオンラインシステムを整備しており、また、金融機関は本店において全支店の預金者の口座を検索し支払停止を行うことができるシステムを有しているといわれています。このため、金融機関が取扱店舗ごとに独立して預金管理していることを強調して差押債権者に不利益を甘受させてよいのかという議論が出てきました。

このような状況の変化をふまえ、「全店一括順位付け方式」(取扱店舗を支店名で特定せず、全ての支店を対象として順位付けをする特定方法)による差押申立について、債権の特定を認め適法とする裁判例が現れました(大阪高裁平成19年9月19日決定、東京高裁平成18年6月19日決定、東京高裁平成17年10月5日決定等)。

しかし、最高裁平成23年9月20日決定は、全店一括順位付け方式は債権の特定を欠く(不適法)としました。この最高裁決定は、全店一括順位付け方式では、第三債務者(金融機関)において「先順位の店舗の預貯金債権の全てについて、その存否及び先行の差押え又は仮差押えの有無、定期預金、普通預金等の種別、差押命令送達時点での残高等を調査して、差押えの効力が生ずる預貯金債権の総額を把握する作業が完了しない限り、後順位の店舗の預貯金債権に差押えの効力が生ずるか否かが判明しないのであるから、本件申立てにおける差押債権の表示は、送達を受けた第三債務者において上記の程度に速やかに確実に差し押えられた債権を識別することができるものであるということはできない」と判示しました。


 このように、最高裁で全店一括順位付け方式が否定されてしまいましたが、差押債権者側は、「預金額最大店舗指定方式」(金融機関の全店を対象にして、その中で預金債権額の最も大きな店舗の預金債権を対象とするという特定方法)による預金債権差押申立てを試みます。

預金額最大店舗指定方式については、これを認める高裁決定(東京高裁平成23年10月26日決定など)と、これを否定する高裁決定(東京高裁平成24年10月10日決定など)とに高裁の判断が分かれましたが、最高裁は、平成25年1月17日決定で、預金額最大店舗指定方式について、債権の特定を欠くと判断しました。

 最高裁の同決定は、預金額最大店舗指定方式では債権の特定を欠くとする理由を次のように判示しました。すなわち、この方式による差押を認めると、金融機関は、全ての店舗の中から預金額最大店舗を抽出する作業が必要となるが、その際、金融機関において、「全ての店舗の全ての預金口座について、まず該当顧客の有無を検索した上、該当顧客を有する店舗における差押命令送達時点での口座ごとの預金残高及びその合計額等を調査して、当該店舗が最大店舗に該当するかを判定する作業が完了しない限り、差押えの効力が生ずる預金債権の範囲が判明しないことになり、これらの作業には相当な時間を要するものと認められる一方、各口座の預金額は、時間の経過により刻々と変化する可能性があるから、差押の効力が上記送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかに、かつ、確実に、差し押さえられた債権を識別することができないので、そのような方式による差押債権の表示を許容することはできないとする原審の判断は正当として是認できる。」


 以上のとおり、現状では、取扱店舗を支店名で特定するよう求め、店舗を支店で特定しない預金債権差押申立てについては、差押債権の特定を欠く(申立ては不適法却下される)という東京地裁民事執行センターの従来の取り扱いが最高裁によって是認されています。

 ですから、預貯金債権の差押申立てにあたっては、銀行については取扱支店、ゆうちょ銀行については貯金事務センターを特定する必要があるということになります。

 このため、これからも、従来言われてきたように、債務者の本店に近い金融機関を確認したり、債務者の事務所を訪ねた際に金融機関の粗品(ティッシュペーパーやカレンダーなど)がないかなどの地道な情報収集が大切になるのです。

 なお、支店を特定する東京地裁民事執行センターの方法による場合でも、複数の支店の口座を差し押さえることは可能です。この場合には、同じ銀行に対する預金債権でも、支店ごとに別の債権として扱われ、さらに、債権を差し押さえる場合には、超過差押えが禁止されている(民事執行法146条2項)ことから、請求できる債権を各支店ごとにそれぞれ割りつけて(分割して)差し押さえなければなりません。

 例をあげると、50万円の請求権がある場合に、甲銀行のA支店、B支店、C支店にそれぞれ差押えをする場合、A支店=20万円、B支店=20万円、C支店=10万円といった形で、分割して差し押さえる必要が出てきます。この場合、仮にA支店に50万円があり、B支店、C支店に預金がなかった場合、A支店にある20万円しか支払いを受けることはできません(改めてA支店を差し押さえることは可能ですが、タイムラグが発生し、その間に引き出されてしまうリスクはあります)。

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