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消費者契約法 改正のポイント⑤
■契約条項の無効(消費者の解除権を放棄させる条項について、無効とする条項)を追加、
■消費者契約法第10条に例示を追加

(掲載日:2017年8月23日)

1.無効とする消費者契約の条項の類型の追加(8条の2)

1-1.改正前の条項

 改正前の消費者契約法上、事業者と消費者の間で交わした契約の条項は、次の①から③に該当する場合に限り、無効と判断されていました。

① 事業者の損害賠償責任を免除する条項を無効とする規定(8条)
② 消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等を無効とする規定(9条)
③ 消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする規定(10条)

1-2.改正前の条項の問題点

 民法によれば、事業者に債務不履行がある場合や、事業者が行った給付に瑕疵があり、契約の目的を達することができない場合、消費者は、契約を解除することができます(民法541条、570条、566条等)

 しかし、事業者が作成した契約条項の中には、債務不履行や瑕疵担保責任に基づく消費者の解除権を放棄させる条項が少なからず見受けられます。

 例えば、つぎのような条項です。

・携帯電話端末の売買契約
「ご契約後のキャンセル・返品、返金、交換は一切できません」との条項

・大学医学部専門の進学塾と消費者との間の冬期講習受講契約
「代金払込後の解除は一切できません」との条項

 このような条項は、上記①や②の規定には該当しませんので、③の規定に該当するかが問題となります。もっとも、改正前の消費者契約法10条に基づき無効と判断される可能性があると考えることもできますが、10条の規定は抽象的であるため、具体的にいかなる条項が無効となるのかの予見可能性に乏しい面がありました。

 そして、このような条項を有効にすると、消費者は、事業者に債務不履行がある場合や、事業者が行った給付に瑕疵があり、目的を達することができない場合であっても、契約の拘束力から解放されず、未払金の支払いを強いられたり、既払金が返還されなかったりすることになり、不当な結果となります。

1-3.改正の内容

 そこで、改正消費者契約法では、事業者と消費者が契約をする際に、次の(1)、(2)の条項について、例外なく無効とする旨の規定が新設されました(改正後消費者契約法8条の2)。

(1) 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項
(2) 有償契約である消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があることにより生じた消費者の解除権を放棄させる条項

■改正消費者契約法 第8条の2(消費者の解除権を放棄させる条項の無効)

 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。

  1. 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項 
  2. 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させる条項

2.消費者契約法10条の例示の追加

2-1.条文の変更点

【改正前の条文】

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第10条 民法 、商法 (明治32年法律第48号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

 

【改正後の条文】

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第10条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

2-2.変更のポイント

 改正前の消費者契約法10条は、①「民法、商法(略)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」(10条前段要件)が、②「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害する」(10条後段要件)場合、当該条項を無効とする旨を規定しています。

 もっとも、どのような条項が消費者契約法10条に該当し無効になり得るのか必ずしも明らかではありませんでした。

 そこで、改正後の消費者契約法では、10条前段要件を満たす場合として、「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな契約の申込み・承諾をしたとみなす条項」が例示されることになりました。

 なお、10条前段要件を満たすとしても、10条後段要件を満たさない限り、当該条項が無効とならない点は改正前の消費者契約法と同様です。

2-3.具体例

 消費者契約法10条の対象になるかどうかの判断は、個別事案によりますが、例えば、雑誌の定期購読契約における自動更新条項(契約期間が終了しても、当事者から特段の意思表示がなければ同じ条件で契約が更新されるといったもの)や、預金契約における条項(期限到来時に特段の意思表示なしに定期預金が普通預金に自動的に切り替わる)といった条項は、形式的には10条前段要件を満たすものの、消費者に予測できないような新たな負担を課すとまではいえず、10条後段要件を満たさないものと考えられます。

 これに対し、例えば、冷蔵庫の購入者を対象とした、「冷蔵庫配送時にウォーターサーバーを設置し、特にお断りの連絡がなければ同サーバーのレンタルを行う」といった契約条項の場合には、消費者が積極的な行為を何もしていないにもかかわらず無条件に契約を成立させ、当該契約成立後には当該消費者の認識にかかわらず当該契約に基づく代金支払いを負担させるものです。

 このような契約条項は、消費者に不測の損害を与える可能性が高く、10条後段要件を満たし、無効と判断されます。

 

 10条後段の要件を満たすか否かについては、当該契約条項の事業遂行の必要性や消費者の不利益の内容・程度等を踏まえた個別具体的な考察が必要です。

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